太陽フレアが発生する可能性があり、通信機器やGPS、携帯電話などに影響が出る可能性が指摘されています。
太陽の表面で発生する大規模な爆発現象で、大きな黒点の近くで発生する
大規模な太陽フレアが発生すると、X線やプラズマが放出され、地球の磁場が乱れる磁気嵐が発生
大規模な太陽フレアが発生すると、通信障害や停電、航空機の運航への影響などが発生する可能性
【影響の想定】
通信機器やGPS、携帯電話が使えなくなる
航空機の運航に最悪の場合2週間ほど影響が出る
大規模な停電が発生する
人工衛星が障害に見舞われ、GPSなどの位置情報に関連したサービスがすべて影響を受ける
電源に繋いでいる機器に過電流などの影響を受ける
電源に接続していない電子機器であっても最悪の場合電源がつかなくなる
【太陽フレア発生の要因】
太陽フレアは太陽の表面で発生する大規模な爆発現象で、太陽の活動が活発になったときに起きやすいと言われています。太陽には活動の周期があり、約11年の周期で変動を繰り返すことが知られています
太陽フレアは、その爆発によって高エネルギー粒子や高エネルギーの電磁波を放出します。これらは光速かそれに近い速さで移動するため、最短で約8分という短い時間で地球に到達します。地球と太陽は約1億5,000万km離れていますが、太陽フレアは遠い星の出来事ではなく、地球環境に即座に大きな影響をおよぼしかねない現象なのです。
ここで気になるのが、太陽フレアが私たち人間、また地球上の多くの生物にもたらす影響です。この点について、本来であれば太陽フレアが放出する電磁波や高エネルギー粒子は生物にとって有害ですが、地球が持つ固有の磁場と大気によって守られていることで、人体などへの直接的な影響はないとされています。
しかし、特に太陽フレアから放出される高エネルギーの荷電粒子(主に高エネルギーの陽子)や電磁放射線(主にX線)は、私たちの目に見えないところで地球環境にさまざまな影響をもたらしています。
太陽フレアは、地球そのもの、また情報社会を生きる私たちの日常生活に大きな影響をもたらします。これらの影響を予防・回避するための技術を確立することは、多くをテクノロジーに依存する現在の世界において、潜在的な混乱を緩和する上で極めて重要です。
地球大気の上層には、太陽からの紫外線やX線を吸収する働きを持つ、一部がイオンと電子に電離している「電離圏」(高度約60km~1,000km)があります。すでにふれたように太陽フレアは電離圏に影響を与え、 短波帯の電波を使用する通信に障害を引き起こします(デリンジャー現象)。たとえば航空機では、通信障害、測位誤差、搭乗員の被曝が発生する可能性があり、安全な航行に大きな支障をきたすことが考えられます。さらには、地球の磁場による恩恵を受けることのできない人工衛星にも、電子機器の誤作動や宇宙飛行士の被曝といった悪影響を与える可能性があります。
たとえば、1989年にカナダのハイドロ・ケベック発電所で起きた障害は、太陽フレアが情報社会にもたらした最大の脅威のひとつです。これにより、ケベック州では大規模な停電が発生し、約600万人に影響が出ました。この太陽フレアは、アメリカのニュージャージー州で変圧器に多大な損傷を与えたことでも知られています。